分散型自律芸術(DAA)
Decentralized Autonomous Art (DAA)
中心なき関係から生成する芸術
概要
分散型自律芸術(DAA)は、作者、作品、鑑賞者、制度といった固定された中心に芸術の成立条件を集中させるのではなく、複数の主体、場所、情報、行為、時間の関係へと分散させるプロジェクトである。自律とは孤立や自己完結ではなく、中心による一元的な決定に還元されず、関係の更新を通じて作品が生成を継続できる状態を意味する。
分散型自律芸術(Decentralized Autonomous Art、DAA)は、2022年12月20日に提示された宣言を起点とするプロジェクトである。その中心的な問いは、芸術作品の成立や価値を決定する中心はどこにあるのか、そして芸術はその中心から離れて存在しうるのか、という問題にある。
近代的な芸術制度では、作者が作品を制作し、作品が独立した対象として提示され、鑑賞者がそれを受容し、さらに美術館、批評、市場、教育などの制度が価値を付与するという構造が形成されてきた。この構造では、それぞれの役割が分離されながらも、作品の成立条件は特定の位置や権限へ集中しやすい。
DAAは、この集中構造そのものを問い直す。作品は一人の作者だけによって完結するものではなく、鑑賞、使用、共有、移動、記録、再解釈、環境の変化など、複数の出来事によって継続的に形成される。芸術の成立条件を一つの中心に固定せず、複数の関係へ分散させることで、作品は異なる状況のなかで更新され続ける可能性を持つ。
ここでいう「自律」は、作品が人間から独立して自己完結することを意味しない。むしろ、自律とは、一つの主体や制度によって完全に制御されることなく、複数の関係を引き受けながら生成を継続できる状態を指す。したがって、DAAにおける自律性は孤立ではなく、関係への開放性によって成立する。
また、「分散」は単なる技術的なネットワーク構造を意味するものでもない。重要なのは、作品の存在、意味、価値、決定が一つの位置に集約されないことである。作者、鑑賞者、場所、情報、時間、制度などの異なる要素が、それぞれ固有の位置を保持しながら作品の生成に関与する。
この意味でDAAは、Web Installation、Smart Art、量子論美術、デリバティブアートなど、それ以前の実践で扱われてきたインターフェイス、関係、観測、派生といった問題を、分散と自律という観点から再構成するプロジェクトでもある。
後の生成学から見れば、DAAは、存在を固定された中心から説明するのではなく、複数の接続可能性から生成するものとして捉える重要な実践である。中心を失うことは秩序を失うことではない。むしろ、単一の中心によって閉じられないことによって、新たな関係や作品性が生成され続ける条件が開かれる。
Keywords
分散型自律芸術;DAA;分散;自律;非中央集権;関係;作品性;インターフェイス;自己外部化;生成;共存在