No.0117

抽象度の高い技巧とは何か

text : mama(美学者母)
2016年1月17日(
日曜日)執筆

 

美術関係の人間とか特にそうなのだけれど、
直接的な手仕事の技術にこだわるわけですね。
例えばデッサンであるとか、 技巧的な事をね。
これってほんとに下らないと強く思うのです。
そんなのテクノロジーがとっくに勝ってるよ。
ってバカバカしく思うのです。
しかしそういう事を言うと、 なんだかんだ言うわけですが。
例えばテクノロジーは人間が生み出した技巧なんですね。
そのテクノロジーを使って、
さらに人間の手仕事では及ばない領域、
それを可能にする技術がテクノロジーなんですよ。
例えば僕は半導体の装置関係の仕事もしていました。
現在の半導体の回路は非常に微細です。
当然人間の手仕事で回路を作る事は不可能なのです。
もう視認できない領域で造形されているのですね。
そしてその様な半導体は、 僕たちの生活の中に当たり前に存在しています。
僕は人間の手仕事に感動するより、
あなたのパソコンやスマートフォンに入っている、
半導体に感動する方が自然なように思います。
テクノロジーとは現代の「工芸」なのです。
そしてテクノロジーとは、 抽象度の高い技巧なのです。
その辺が、 「美術」とか「アート」というものの認識を、
混乱させている大きな要因だと感じます。

美学者母