『ごっこ論』(美術理論 著者 美学者母)

 私たちは子供の頃によく「鬼ごっこ」や「警察ごっこ」など「ごっこ」というものをして遊んでいたのではないだろうか。私の記憶には色濃くそのような遊びが思い出として残っている。大人と呼ばれる年齢になり、そのような幼少期の遊び、「何々ごっこ」を思い出すと微笑ましくも思う反面、大人の世界で生きている今でも自分自身や社会を客観視してみると、世の中のすべての事情が幼少期の「ごっこ」の延長線上でしか無いのではないのかとふと思う事が度々あるのである。ショッピングセンターで観る「家族」。ビジネススーツをきちっと着こなしている「会社員」。道路で交通違反を取り締まっている「警察官」。病院で診察している「医者」。それらはすべて、「ごっこ」。子供の頃にしていた「何々ごっこ」と全く変わらない同一のものと観る事ができるのではないか。そもそもそう思った事が私の「ごっこ論」の始まりである。

              2013年7月1日 美学者 母